青文出版社の『ドラえもん』第228巻に収録の作品「のび太の模擬地球⑥」を紹介します。青文オリジナル大長編ドラ『のび太の模擬地球』の連載第6回です。

今回は、本家大長編ドラ『のび太と竜の騎士』と絡めたシーンが登場します。うまくつなげたものですね。ただし、『竜の騎士』では恐竜絶滅の原因として彗星説を採っているのですが、本作『模擬地球』でそのシーンを引用するにあたって巧妙に隕石説とすりかえています。
これについては藤子・F・不二雄がかつて対談で、執筆当時は最新学説だった彗星説を採り入れたものの、今となってはやっぱり隕石説にすべきだった……というようなことを述べていました。この対談は『ドラえもんふしぎ探検シリーズ(1)恐竜大探検』(だった気がする)という本の巻末に掲載され、現在は『藤子・F・不二雄のまんが技法』という本でも読むことができるはずです。

『模擬地球』についてすごいと思うのは、ただ『竜の騎士』を引用して終わるのではなく、原作者の意思をもくみとって一つの作品に仕上げている点。もしも今後、映画ドラえもん製作委員会が『竜の騎士』をリメイクするなら、作者の意思を反映するように心がけていただきたいものです。新鉄人兵団でジュドの脳をピッポに変えたような、あるいはそれ以上の思い切りを見せてください! 原作ファンが袋叩きにしたとしても私はきっと支持します。

『模擬地球』作中で、地球の生命はアメーバから進化したと何度か説明していますが、アメーバがどこから来たのかという疑問にはきちんとした答えを出していません。その点について現在ではかなり解明が進んでいるみたいです。太陽系の外れ、エッジワース・カイパーベルトにある大量の氷、その一部が彗星となって地球に降り注いだわけですが、その彗星に含まれる水分やアミノ酸が、母なる海と原始生命を作り出したという説があります。『模擬地球』では神様がポンと創造したという考えのようですし、実際その可能性も否定できないと思います。みなさんはどうお考えでしょうか。

今回の第228巻からデザインを一新した目次になっています。おまけにかわいいドラちゃんのイラストまで添えられています。本家大長編ドラが連載されていた『コロコロコミック』でも、表紙にこのようなイラストが描かれることがありましたね。青文大長編ドラでも、こういうイラストは第228巻の目次にしか掲載されていないので、おそらく試験的にコロコロをまねてみたのでしょう。できれば青文大長編ドラの全作品について、このようなイラストを見てみたかったものです。

なお今回から、画像編集ソフトに付属している自動ゴミ取り機能を使ってみました。宇宙空間や星空をかいた絵では、白い点が印刷ムラなのか星なのか判別が困難で、そういうコマだけはゴミ取りを行いませんでした。が、今回自動化によって星空のゴミ取りも容易にできるようになったため、星空の絵がよりクリアになりました。前回までの星空と比べると一目瞭然かと思いますので、違いをわかっていただけると幸いです。

それと前回(連載第4回)についておしらせです。昨今話題沸騰中のドラDVDほどではありませんが、一部に表現に問題がある箇所がありましたので、セリフを全体的に見直して修正版に差し替えました。お手数ですが前回記事を開いていただき、再度『のび太の模擬地球⑤』をお読みくださいますようお願いいたします。

それでは連載第5回をお楽しみください。次回はいよいよ『のび太の模擬地球(完結編)』です。今月下旬早々に公開できるかと思いますので、次回もお楽しみに!
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(黃寄萍 発行『機器貓小叮噹 228』青文出版社、中華民國81(1992)年8月15日出版)

2012/05/06 01:00 追記
p20(p28表記)を広告画像に変更しました。本来、とp20(p28表記)の間には1ページあるのですが、連載版ではその欠けページ(p29)がp20(p28)の次に誤って配置されている(つまりp28とp29が逆になっている)のです。切りやすいため、『模擬地球⑥』はp19(p27表記)で切ることにしました。

2012/05/06 22:00 追記
イリのせりふにある「我们」の和訳として「ぼくたち」と「われわれ」の2種類を混用していたので、「ぼくたち」に統一しました。

2012/05/16 22:20 追記
解説文の誤字を修正しました。
前回(連載第5回) → 前回(連載第4回)