青文出版社の『ドラえもん』第222巻収録作品「のび太の模擬地球②」を和訳したので紹介します。「新大長編ドラえもん」シリーズ第3作『のび太の模擬地球』(全7回連載)の連載第2回です。

今回はスネ夫の子孫であるスネ奇の登場も魅力的ですが、青文オリジナルの大長編ドラに初めてのび太の孫の孫・セワシが登場することにも注目です。


原作でのセワシは髪色が縦の線で表され、のび太の息子であるノビスケは髪色が黒ベタで表されているのですが、この「模擬地球」ではセワシの髪色が黒ベタで表されています。というわけで本作に登場するのび太顔の少年はノビスケに見えるかもしれませんが、作中では間違いなくセワシですのでご注意ください。

また作中、星が形成される様子を表す「ゴオー」、UFOの飛行音「グオングオン」といった擬音がありますが、この音は宇宙空間にひびいたわけではなく、「宇宙カプセル」服用者の耳につたわった音であると思ってください。

本作に登場する道具「宇宙カプセル」は本家の大長編ドラ「のび太と銀河超特急」(1996年に単行本化)にも登場する道具です。同様の道具「食用宇宙服」がすでに宇宙開拓史に登場してはいますが、カプセル剤としては本作が「銀河超特急」を先取りした形になっているのが興味深いです。

今回のおまけは本作が掲載されている本の表紙、それと同じ本に掲載されている大長編ドラ「のび太の光の旅④」の冒頭になります。気円斬……じゃなくて「飛車輪!」というセリフは呪文の詠唱です。このセリフなど、青文ドラではすべからく呪文の詠唱を古印体にしており、平文との区別が容易になっています。一方、原作の魔界大冒険などでは呪文の詠唱にも平文と同じフォントを用いていますので、和訳の際はそれにならいました。

それでは、なぞが深まる展開の「のび太の模擬地球③」をお楽しみください。次回の掲載は来月の予定です。
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(黃彬彬 編繪『機器貓小叮噹 222』青文出版社、中華民國81(1992)年5月4日出版)