今回翻訳に挑戦したのは、青文ドラ第220巻収録「未来ケータイ」です。

「大哥大」は携帯電話という意味ですが、ここでは「ケータイ」と訳しました。作中で一回だけ「大哥大電話」という表現が出てくることや、テレビアニメ第2作第1期で「ケータイ家族」という名称のひみつ道具が登場したことから、「ケータイ」と訳すのが適切だと判断しました。

作品が発表された1992年当時は、現在ほど携帯電話が普及していなかったように思います。藤子・F・不二雄の『ドラえもん』においても「メッセージ大砲」(1984年発表)、「糸なし糸電話」(1985年発表)と、離れた人に肉声を届けるひみつ道具が登場しています。またテレビアニメ第2作第1期では「シャボン玉通信機」(1994年5月27日放送)、「カードテレビ電話」(1996年11月1日放送)が登場し、肉声以外の伝言には「ちょうちょレター」(1992年7月31日放送)、「伝言花火」(1994年12月2日放送)が登場しており、携帯電話へのあこがれがよくわかります。

本作に登場する「未来ケータイ」は、だれにでも直接電話をかけることができるひみつ道具であり、ほとんどの人がケータイを所持している現在では価値が薄れそうですが、あらゆる生き物と話ができる点が画期的なアイディアだと思います。相手の名前を入力するだけで電話をかけることができるということは、名前を知っている、それも世界中の著名人に電話できるということでもあります。まさに夢のようなひみつ道具です。

ただし通話料金が高価だという点が現実的ではあります。作中でドラえもんが「むだ話するな」と怒る場面がありますが、しずかの家ではしずかが使いまくっていたので、しずかにも怒られる理由はあるように見えます。「むだ話をしてるようだが」の原文は「廢話」であり、もっと適切な訳語があったかもしれません。

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(黃彬彬編繪『機器貓小叮噹 220』青文出版社、中華民國81年3月25日出版)